砂漠の夜の幻想奇談
さらさらと流れるような金色の髪。
雪原のように白い肌。
整った美しい顔立ち。
そこには、記憶と同じシャールカーンが立っていた。
(彼だわ!本物の、シャール!)
サフィーアはジッと彼を見つめたが、向こうはまだ気づいていないのか、商人と話を進める。
「今日は何用かな?」
「御身の上に平安あれ!王子様、今日参りましたのは、こちらの娘に関してでございます」
「女奴隷か。売りに来たのかな?しかし生憎と、召使の数は足りて…」
ここでやっと彼はサフィーアを視界に入れた。
「ん?君は…」
シャールカーンの目が見開く。
「まさかっ!」
彼はサフィーアに近寄り顔を覗き込んだ。
「サフィーア、か?」