砂漠の夜の幻想奇談
「わかったよ。君の護衛官の捜索をさせよう。特徴は?」
サフィーアは思いついたカシェルダの特徴をポンポン挙げていった。
「えっとね…歳は二十歳くらい。黒髪で、肌が少し褐色で、瞳は青。前髪が片側だけ長いの。すごく剣が強くてカッコイイわ」
「……カッコイイ?」
なぜか最後の一言にピクリと反応したシャールカーン。
彼は長椅子から立ち上がると、ふらりと窓辺に近寄った。
「ど、どうしたの?シャール?」
椅子に取り残されたサフィーアが困惑して彼を呼ぶ。
「……捜索、やめてやろうか…」
ボソリと呟かれた本音。
カッコイイ護衛官などサフィーアの傍にいらない。
彼女にカッコイイと思われている男がいるなんて、面白くない。
「何か言った?聞こえなかったのだけれど…」
「いや、何でもない」
シャールカーンは笑顔をはりつけて彼女の傍に戻った。
「一つ聞いていいか?」
「何かしら?」