砂漠の夜の幻想奇談

「俺とその護衛官、どちらがカッコイイ?」

「……え?」

あまりにも予想外な問いにサフィーアは一瞬、言葉を失った。

「そ、それは…どちらも…」

「どちらかだ。二者択一の質問だよ?」

「え…えと…」

どっちも容姿は良い。

サフィーアでなくとも優劣をつけるのに迷うだろう。

後は好みの問題だ。


(ど、どうしよう…!ここはシャールだと言うべきところなのかしら…!?)


真剣な彼の表情は、自分以外の答えを許さないと語っているようだった。


(でもカシェルダだってカッコイイのよ!?嘘は言いたくないわ)


サフィーアの目線が泳ぐ。

そんな彼女を見て数秒後、シャールカーンは諦めた。


「ふーん。カシェルダか。彼に会ってみたくなったね。俺と比較して迷うなんて…」


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