砂漠の夜の幻想奇談
どうやらカシェルダに興味を持ったようだ。
これで捜索が中止される心配はなくなった。
「ところでサフィーア。いまさらだが、君はアラビア語が話せるんだね」
今、二人はアラビア語で会話をしている。
サフィーアはコクリと頷いた。
「でも読み書きは難しいわ」
「そうか。なら早めに伝えておこう。いつ君が服作りに取り掛かるかわからないからね」
妖しく微笑むと、彼は唐突に言った。
「サフィーア。結婚してくれないかな?」
聞いた瞬間、サフィーアは呆れた。
「またその話!?前にも言ったわ。お断りします」
彼女がそう言うことは想定内。
シャールカーンは苦笑しつつ、サフィーアを抱き上げた。
「きゃ!」
「君に惚れたんだ。わからないか?」
「わかりません!」