砂漠の夜の幻想奇談
入ってきたのは若い女性だった。
綺麗なストレートの黒髪に、カシェルダと同様やや褐色の肌。
見た目からして年齢はサフィーアよりも年上のようだ。
「お腹すいてませんか?広間でお食事にいたします?」
「え?あ、あの…」
突然やって来て、屈託ない笑顔で食事を勧める彼女は何者か。
サフィーアが困惑していると、それに気づいた彼女が慌てて頭を下げた。
「あ!すみません。申し遅れました!私はドニヤと申します。王子からサフィーア様のお世話をするよう命じられました。よろしくお願い申しあげます」
「お世話?」
「はい。サフィーア様の事情は王子から全てうかがっております」