砂漠の夜の幻想奇談
サフィーアは頷いてから明日のことを思った。
(明日から声が出せなくなるのね…。不安だわ。もし、うっかり喋ってしまったらと考えると…)
その時点でジ・エンド。
兄達を助けること敵わずに一生後悔することとなる。
(ああ~もう!くよくよしてたらダメよ!)
サフィーアは自分の頬を手でパンッと叩いた。
隣にいたシャールカーンがそれに驚いたことにも気づかず一人、気合いを入れる。
(失敗することばかり考えるなんて、兄上達に失礼だわ!絶対に成功させてみせるのよ!)
「サフィーア?どうした?」
シャールカーンはそっと彼女の手をとった。
「頬を叩いて…ご乱心かな?」
「あ、いいえ…なんでもないわ。気にしないで」
苦笑いを浮かべているとドニヤが食事を運んできた。
美味しそうな匂いに思わずそちらへ目をやると、シャールカーンが急にとんでもない話を切り出した。