砂漠の夜の幻想奇談

「何やってるんだ？稽古？」

「あれはどう見ても決闘ではないですか？」

「決闘！？てか相手の男誰だよ！」

「……貴方が捜索を任されていた護衛官の人相と似ているようですが？」

バルマキーに指摘され、トルカシュの顔が青くなる。


「……ま、まさか…サフィーア様。あの男が…？」

恐る恐る尋ねたら大きく頷かれ、衝撃を受けるトルカシュ。

「マジかっ……て、ああ！！よく見たらあいつ！浴場にいた奴じゃん！！」

「しかし、なぜ決闘に？」

バルマキーに問われるも、理由を知るサフィーアは話せない。

どうしたもんかと四人が考え込んでいるうちに見物人も増えてきた。

礼拝が終わり、仕事を再開するべく屋敷へ戻ってきた召使達が中庭の決闘に気づき足を止める。