砂漠の夜の幻想奇談
「しかし、このまま続けられて死者が出るのも困ります。どうしたものか…」
頭を抱えたバルマキー。
そんな悩める文官のもとへバタバタと男性の召使が駆けて来た。
「バルマキー様!大変です!」
「なんです?」
「カンマカーン王子がお見えになられました!!」
召使の報告に、サフィーア以外の三人が驚きの声をあげる。
「カンマカーン王子が!?なんだってこんな時に!?」
「バグダードからいらっしゃったのですか!?あの方が!?」
「こうしちゃいられないわね!お食事とお部屋の用意を…!」
(カンマカーン王子…?どなたかしら?)
サフィーアが首を傾げていると、執務室に小柄な少年が入ってきた。
「バルマキー!トルカシュ!久しぶり」
のほほんとした笑顔で近づいてくる彼こそ…。
「か、カンマカーン王子!!」