砂漠の夜の幻想奇談
第八話:カシェルダの忠告
カシェルダと共にダマスの町に留まること数日。
あの日から一日一度、中庭で行われる剣試合は太守の屋敷の日常風景になりつつあった。
シャールカーン対カシェルダ。
二人の力が互角なためか、毎度両者ともにバテて試合は終了する。
未だに白黒つかない状況だ。
(今日もやるのかな?)
初めこそ再び決闘と聞いてハラハラしていたサフィーアだったが、ここ数日の試合を見て考えを改めた。
何と無く、この二人は永遠に白黒つかないのではないか…。
そう思うようになってきたのだ。
また今日も体力がなくなり、暑さにやられて引き分けとなるだろう。
そんな予感がする。
故郷への帰還は遅くなるが、これで良いとサフィーアは心中頷いた。
誰にも死んでほしくないから、これで良いのだ。