砂漠の夜の幻想奇談


 さて、その日の夕刻。

サフィーアの食事を用意するため料理場にいた侍女三人組が、こんな会話をしていた。

「ハァ……やっぱりステキよね。カシェルダ様っ」

「何言ってるのよ。あなた、ついこの前までシャールカーン王子にキャーキャー言ってたじゃない」

「どっちもカッコイイわ!」

ナグマ、ノズハ、ザハラ。

彼女達は今日の決闘でカシェルダに群がっていた侍女達だ。

「中庭での決闘、いつまで続くのかしらね」

「いつまでも続いてほしいわ!それだけ多くお二人の勇姿が拝めるし!」

ノズハとザハラが話していると、ナグマが皿を準備しながら同僚に尋ねた。

「ねえねえ、カシェルダ様って恋人いると思う?」

「うわ!狙うの!?」

「恋人というか、カシェルダ様はサフィーア様ばっかり気にしてるから他に目移りしなさそう」


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