砂漠の夜の幻想奇談
ノズハの意見に対し、ザハラが首を傾げる。
「サフィーア様の護衛官だっけ?ていうか何なの?サフィーア様って」
「突然来たわよね。買ったんだっけ?王子が」
サフィーアに関する情報は異様に少ない。
ノズハが知っていることは、シャールカーンが買って寵愛しているという事実のみだ。
侍女で詳しく知っているのはドニヤくらいだろう。
「王子に寵愛されて、カシェルダ様に護られて……ふん!いけ好かない女!」
「こら!誰かに聞かれたらどうすんの!」
ナグマの悪口に反応してノズハが周囲を見回した。
「だって~!悔しいんだもん!あんた達だってそうでしょ!?」
「……そりゃあ」
「確かに…。お二人は口を開けば何かと、サフィーア様サフィーア様だからね…」