砂漠の夜の幻想奇談
その時、慌ただしい足音を響かせながらシャールカーンとカシェルダが寝室に駆け込んできた。
「サフィーア!?無事かい!?」
「サフィーア姫!!いかが致しましたか!?」
悲鳴を聞き付け自分の寝室から走ってきたシャールカーン。
カシェルダも、朝早くバキータの様子を見に行っていたので慌てて戻ってきた。
呼吸を落ち着かせながら寝台にいるサフィーアとダハナシュを見つめる。
「ん?誰だ、貴様は!」
「あいつは……魔神!」
カシェルダが驚きに目を見開く。
するとダハナシュは気怠げに髪をかきあげた。
「ああ、いたのか…駄犬」
「貴様っ…」
カシェルダが腰の三日月刀をスラリと抜いた。
「カシェルダ、知り合い…?」
関係が掴めないドニヤが首を傾げる。