砂漠の夜の幻想奇談
書いた紙を突き付けるとカシェルダは困惑した。
「そう言われましても…」
「なになに?好きな人じゃないと嫌…?ならサフィーアはやっぱり俺と一緒になるべきだよ」
文章を読んだシャールカーンが爽やかな笑みを向けてくる。
(確かにシャールのことは好きだけど…)
結婚なんてよくわからない。
サフィーアがふいとシャールカーンから視線を外した時。
「……そういえば、リストに名があった奴は皆、姫よりもかなり年上だったな…」
カシェルダがボソッと呟いた。
「どういうことかな?」
「ほとんどが、三十代。良くて二十代。大人の方が安心だと王様がおっしゃっていた」
現在十四歳、もうすぐで十五歳のサフィーアはこれを聞いて青くなった。
(おじさんと結婚は嫌ぁあ!!)