砂漠の夜の幻想奇談

「それはもう、悪魔の如く目をつり上げていらっしゃいましたよ」

至極真面目な顔をして言うものだから、サフィーアは思わずビクリと肩を震わせてしまった。


(うう…お城に帰るの怖い)


冷や汗をかいてズーンと落ち込んでいると、船首にいたシャールカーンがやって来た。

「カシェルダ、そろそろ着くだろう?船を降りたら君は先に王宮へ行ってくれ。アフリドニオス王に俺達が到着したことを前もって伝えて欲しい」

「承知した」




昼の食事を終える頃、船は速やかに港へ入った。

巨大な城壁に囲まれた要塞都市コンスタンチノープル。

ビザンチン帝国の首都は、その絶対的な守備力を見せ付けるようにしてシャールカーン達を出迎えた。






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