砂漠の夜の幻想奇談
第十四話:いざ、勝負!
翌日、午前中にチェスの試合を言い渡されていた二人は揃って王の前に遅刻した。
理由は簡単。
朝までチェスの猛特訓をし、そのまま酒場で爆睡していたからだ。
いつの間に寝ていたのだろう。
気づいたミロンが起こしてくれなかったら午後まで眠りこけていたこと間違いない。
「随分と余裕そうではないか。ん?」
「申し訳ございません!!」
大広間にて、二人仲良く頭を下げる。
「もう良い。始めよ!」
中央に用意されたテーブルに着席し、彼らは向かい合って盤を囲んだ。
「師匠。手抜きは無しでお願いします」
「ああ。わかってる。君も本気でおいで」
「無論です!」
両者の中では、すっかり師匠と弟子の関係が出来上がっていた。
先手は白のテオドール。
一つ目の勝負が始まった。