砂漠の夜の幻想奇談
(良かった!間に合ったわ!)
「姫!なぜこちらに!?」
眉をつり上げるカシェルダ。
そんな護衛官に対し、サフィーアは自分と馬を交互に指差した。
「え…?まさか姫…」
「ついて来るつもりかい?」
シャールカーンの問いにサフィーアはニコニコ頷く。
(一緒に行きたいの。私も乗せて!)
よく見ればサフィーアの手には大きなバスケット。
嫌な予感がしたカシェルダが中を確かめれば、軽食用のパンやチーズ、ワインが入っていた。
「姫、ピクニックではありません」
(わかってるわ!これは私が食べるんじゃないもの。シャール達がお腹空いた時のためよ!)
「用意がいいね。さすがサフィーア。おいで」
シャールカーンはわかってくれたようだ。
サフィーアを抱き上げて、さっさとジェドラーンに乗せてしまう。
「姫がご一緒ならドニヤやトルカシュも呼びましょう。私がお傍にいても、指導をしていたら護衛のお役目が果たせませんから」
追い返そうとしていたが、どうやらカシェルダは諦めたようだ。
ドニヤやトルカシュ、それにバルマキーも加わって一行は練習場へ出発した。