砂漠の夜の幻想奇談
「カシェルダ、味方になってくれるのか?」
「今回だけだぞ。まあ、俺が入ったところで何か変わるわけでもないが」
「いや、心強いよ」
シャールカーンは素直にそう感じた。
カシェルダは強い。
日々の決闘でそれはわかりきっていたからだ。
「そうか。なら、お前の足を引っ張りそうな奴は自軍といえど潰しておいてやる。安心しろ」
「てか、潰すくらいなら最初からそんな奴を味方チームに入れるなよ」
トルカシュがぶつぶつ文句を言った。
「数合わせの騎士達はくじ引きで分けるだろうから、無理だな」
「団体戦は何人くらい出るんだい?」
シャールカーンがふとした疑問を口にする。
「決まりはないが……多い時は百五十人程いた」
百五十と聞いて、皆一斉に驚いた。
サフィーアも目を丸くする。
生まれてこの方、馬上槍試合を見たのは一度きりだ。
たびたび開催されているのは知っていたが、初めて見た試合があまりにも酷かったためサフィーアはそれ以来、槍試合の観戦に行くことはなかった。
「今回は小規模だろう。多過ぎるとグチャグチャになって勝敗がわからなくなる」