砂漠の夜の幻想奇談
話している間に住宅街を抜けた。
周りに建造物がない広い野原へと出る。
「ちなみに、心して臨め。本物の戦とたいして違わないから、油断してると死ぬぞ」
そうカシェルダが忠告した時、視界の先に馬を駆る騎士の姿が現れた。
練習場に着いたのだ。
ガキンと鋭い音が響く。
馬上にいる騎士が長い槍を突き出す。
相手の騎士は逆三角形の盾で受けようと構えるが、盾ごと後ろに吹っ飛ばされてしまう。
吹き飛んだ衝撃により落馬。
この時点で負けだ。
「ルールは簡単だ。槍を使って相手を鞍から落とす。鞍から落ちたら負け。あと、落ちた敵に追い討ちをかけるのはフェアじゃないから許されない。これくらいだ」
説明しながらカシェルダは馬から降りた。
「危険ですので、姫はあちらの木陰でご観戦を」
シャールカーンに抱かれて地に足をつけるサフィーア。
カシェルダは少し離れた場所にある木を示した。