砂漠の夜の幻想奇談
身体のラインにあった裾の長い純白の衣装。
袖や襟は小花模様のレースで上品にあしらわれ、胸元の流れるような金色の刺繍が衣装の美しさを際立たせている。
アクセサリーは統一してラピスラズリ。
首や耳を飾る空の青はこの日の天と同じくらい澄み切っており、サフィーアによく似合っていた。
「なんて……綺麗」
心奪われるように見惚れていたノーズハトゥだったが、腰まである純白のベールを気にしながら近寄ってくるサフィーアに気づき我に返った。
(来てくれて嬉しいわ!ありがとう)
満面の笑顔に衣装の素晴らしさも手伝ってサフィーアが天女に見える。
ノーズハトゥはポッと頬を赤らめた。
「と、とてもお綺麗です、サフィーア姫。あっ、この度はご結婚おめでとうございます…!」
なんだか照れてしまいセリフの順番が逆になったが、サフィーアはそんなこと気にしない。
ノーズハトゥを温かく迎え、自分の席の近くに座らせる。