砂漠の夜の幻想奇談
初めて男性の肌を知った甘い夜。
サフィーアは余韻が残る中、うっすらと目を開けた。
まだ夜明けまでは時間があるようで、辺りは薄暗い。
隣には裸のシャールカーン。
彼はその逞しい腕でサフィーアの身体をガッチリ抱きしめ眠っている。
(シャール…)
ちらっと彼の唇を見遣る。
行為中、声が漏れそうになる度にキスで塞いでくれた。
(苦しかったけど、助かったわ…)
甘い記憶を振り返り赤面していたら、シャールカーンが身じろいだ。
「う……ん、サフィーア…?どうした?眠れないのか?」
気配に敏感な彼を起こしてしまった。
申し訳なくて胸板に擦り寄ると、シャールカーンがピクリと反応した。
「何?誘ってる?」
(ち、違うわ!誘ってなんか!)