砂漠の夜の幻想奇談

直感的に危険を感じたサフィーア。

このままだと昼間だというのに色気全開の王子に美味しくいただかれてしまう。


(ダ、ダメよ!シャール!)


抵抗虚しく、シャールカーンの手の温もりがサフィーアの胸を包み込んだ瞬間――。


「王子~!バグダードから使者が…って、うあああっ!!真っ昼間から何してんですか!!カシェルダ呼びますよ!?」

「ハァ…トルカシュか。カシェルダはやめてくれ。この前、本気で殺されかけた」

名残惜しげに溜息をつき起き上がるシャールカーン。

サフィーアの上から退くと、トルカシュに歩み寄る。

「で?バグダードの使者がなんだって?」

「あ!はい!近々バグダードでカンマカーン王子が婚儀を挙げるそうです」

「本当か!?そうか…。やっとノーズハトゥと一緒になるのか」


(お二人の結婚式?なら今度は私達がお祝いしに行かなきゃ!)


そわそわした様子で隣に立ったサフィーアを見つめ、シャールカーンは微笑んだ。

「行きたいか?」

問えば元気よく頷くサフィーア。

「よし、なら行こう。トルカシュ!バグダードへ行く準備をする。手配を手伝え」

「はいっ!」








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