砂漠の夜の幻想奇談
サフィーアにとって二度目のバグダード。
前回の時も都は活気があり華やかに感じられたが、今回は結婚式が行われるのでさらに大賑わいだ。
式の当日、サフィーアはシャールカーンと一緒に王宮の大広間へ向かった。
以前、この宴の広間にてノーズハトゥの吟唱を聞いたのを覚えている。
嫉妬した恥ずかしい過去を不意に思い出し、サフィーアは頭を振った。
(いけないわ!笑顔、笑顔)
自分がそうだったようにノーズハトゥもきっと緊張しているだろう。
周りの笑顔に励まされるものだから、自分も笑顔でいなくては。
「サフィーア、女性は奥の間だね。行っておいで」
(うん!)
「ノーズハトゥをよろしくな。俺はカンに会ってくるよ」
始まる饗宴。
王や王妃達も出席する大規模な宴。
多くの臣下や貴族、市民達に祝福され、カンマカーンとノーズハトゥはこの日、晴れて夫婦となった。