砂漠の夜の幻想奇談
第十八話:王位継承
シャールカーンのもとにその報告が届いたのは早朝だった。
「な…に…?もう一度…言ってくれ」
青ざめた顔で聞き返す。
隣にいたサフィーアも蒼白だった。
「も、申し上げます!オマル王様ならびにアブリザ王妃様、ご崩御なされました」
後宮からの使いが繰り返す。
聞き間違いではないとわかり、シャールカーンの思考は停止した。
「崩、御…?父上と…母上、が…?」
崩れかけた王子の身体をサフィーアとトルカシュが支える。
「嘘だ…。そんな、突然…!どうして…!」
「そのことについてですが……シャールカーン王子。至急、広間へおいで下さい。ご遺体もそちらにございます」
何も考えられなかったシャールカーンは言われるがままに広間へと出向いた。
サフィーアや臣下のトルカシュ、バルマキー、ドニヤもついて来る。
しかし、そこにカシェルダの姿はなかった。