砂漠の夜の幻想奇談

そこには、自分の息子シャールカーンを王位につけたいがため現王を殺害したこと、それから計画にシャールカーンは一切関与しておらず、全て己の一存であると記されていた。


「そん…な…。この筆跡は…確かに、母上のもの…」


ガクリと膝をつく。

「嘘だ……こんな…」

シャールカーンは遺書を抱きしめ、その場で涙を流した。


「母上ぇええ!!!!」



泣き叫ぶ王子の悲痛な姿を見ていられず、皆が視線をそらす。

大広間にシャールカーンの叫びが虚しく響き渡った。








< 594 / 979 >

この作品をシェア

pagetop