砂漠の夜の幻想奇談
第十九話:死の口づけ
即位に際して、慣例通り王服を纏い、黄金の剣を手にしたシャールカーン。
そのまま玉座に座った彼は、臣下全員が行う長ったらしい「忠誠の誓い」の儀式を受けた後、酷く疲れた様子でサフィーアがいる後宮へ戻ってきた。
「ハァ……かったるい儀式だったよ。サフィーア、癒しをくれないか」
(いやし?きゃ…!?)
後ろからギュッと抱きしめられる。
「うん……やっぱりサフィーアはいいね。甘い香りがする」
目を閉じて、癖になるサフィーアの香りを吸い込みつつ長椅子に腰掛ける。
と、そこへ。
「王様!私達もお傍において下さいませ」
「シャールカーン王様のご命令であれば私達、なんだって致しますわ」
華やかな衣装に身を包んだ大勢の女性達が室内に入ってきた。