砂漠の夜の幻想奇談
第二十話:交錯の王宮
「王妃様~!聞いて下さいませ!今日もバルマキー様ったらとっても冷たいの!」
アズィーザの件から数日。
サフィーアは仲良くなったファリザード姫と一緒に談笑を楽しんでいた。
隣にはシャールカーン。
アズィーザが刺客だったと彼に報告したら、今まで以上に傍から離れなくなってしまった。
(バルマキー、相変わらずなのね)
あの出会い以来、ファリザードからしつこく迫られているバルマキー。
本人に結婚願望はないらしく「お断りします」の一点張りなのだが、この姫君の諦めの悪さといったら。
「冷たくされ過ぎて嫌にならないのかい?」
「とんでもないわ王様!あの冷めた眼差しにキュンキュンですの。嫌になるどころか、ますます燃えますわ!」
恋する乙女の表情でファリザードが瞳をキラキラさせた時だった。