砂漠の夜の幻想奇談
「ふ、ふふふっ…流石がバルマキー様。素敵な見下し目線ですわ」
全く応えていないようだ。
羨ましい性格である。
「で?何の報告だい?」
シャールカーンはそんなファリザードを横目にバルマキーを促した。
「はっ、申し上げます。アナトリアからの隊商(キャラバン)の数が激減した原因でございますが…」
バルマキーが報告中の間、ファリザードはサフィーアの隣にちょこんと座り、ドキドキしながら仕事モードの彼を見つめていた。
サフィーアは悩む。
(ファリザード姫に協力してあげたいけど、バルマキーは本気で嫌がってるみたいだし…。うう~、どうすればいいの~!?)
やがて報告が終わった側近は素早く一礼し、早歩きで部屋から退室していった。