砂漠の夜の幻想奇談
(テオドールとミロンが来たの!?)
コンスタンチノープルの騎士テオドールとミロンが使者としてやって来た、とシャールカーンから聞かされたサフィーア。
驚き過ぎて口をあんぐり開ける。
(なぜ二人が?何の用だったの?)
紙に書いて質問すると、シャールカーンは困ったような表情でサフィーアを抱き上げた。
そのまま長椅子に腰かけ、サフィーアを膝に乗せる。
「今、アナトリアでは戦争が起こっているんだよ。簡単に言ってしまうと、カイサリアの王とコンスタンチノープルの王が喧嘩してるんだ」
カイサリアの王はルームザーンの父、ハルドビオス王。
対してコンスタンチノープルの王はサフィーアの父、アフリドニオス王だ。
(じゃあ、ルームザーン王子の父上と私の父上が喧嘩をしてるってこと?)
まとめを書けば、シャールカーンは頷いた。