砂漠の夜の幻想奇談
「陸路と海路、どちらがいい?一人じゃ危険だから護衛をつけるとして……船の方がいいか」
サフィーアの答えも聞かずにぶつぶつ呟きながら決めていく。
彼は頭の中で明日の計画をまとめると、サフィーアを抱きしめて寝台にねっころがった。
「きゃ!ちょ、ちょっと…」
「まだ夜明けまで時間がある。だからそれまでは…」
全身が彼の香りに包まれる。
「もう少しだけ、こうさせて…」
まぶたを閉じたシャールカーン。
このまま寝るつもりらしい。
(あ、朝までこの状態…!?)
最初こそ緊張していたサフィーアだったが、やがて聞こえてきたシャールカーンの規則正しい安らかな寝息に、自身も身体の力を抜いたのだった。