砂漠の夜の幻想奇談

「陸路と海路、どちらがいい?一人じゃ危険だから護衛をつけるとして……船の方がいいか」

サフィーアの答えも聞かずにぶつぶつ呟きながら決めていく。

彼は頭の中で明日の計画をまとめると、サフィーアを抱きしめて寝台にねっころがった。

「きゃ!ちょ、ちょっと…」

「まだ夜明けまで時間がある。だからそれまでは…」

全身が彼の香りに包まれる。

「もう少しだけ、こうさせて…」


まぶたを閉じたシャールカーン。

このまま寝るつもりらしい。


(あ、朝までこの状態…!?)


最初こそ緊張していたサフィーアだったが、やがて聞こえてきたシャールカーンの規則正しい安らかな寝息に、自身も身体の力を抜いたのだった。




< 69 / 979 >

この作品をシェア

pagetop