砂漠の夜の幻想奇談

そして自分も彼女の後ろに乗り、すぐに馬を走らせる。


(え?ど、どこ行くの!?)


困惑しているサフィーアに気づいたルームザーン。

目の前に迫る宮殿の門を見ながら話し出す。

「さっきの奴ら、どうやら貴女を狙っているみたいでね。危険だから、ひとまず王宮から出ようと思う」

刺客達の刃は自分よりもサフィーアに向けられていた。

察した彼は良かれと思って市街へ連れて行くことを決意。



良かれと思って…。

果たして本当に百パーセント善意からなのか。

ルームザーンは自身に問い掛ける。


(サフィーア王妃を護ってあげたい。それは嘘じゃない。だが……半分は、出来心だ…)


彼女ともっと一緒にいたい。

あわよくばカイサリアへ連れ去りたい。

自分のものに、してしまいたい――。


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