砂漠の夜の幻想奇談
ショックが大き過ぎたのか、おかしなことを言い出したカシェルダをムスッと睨むサフィーア。
「そ、そうですよね…!よく考えれば、シャールカーンとの………」
誰との子供だろうと、ショックなのは同じこと。
今までカシェルダはサフィーアとシャールカーンの夜の営みを考えないように、考えないようにと努め、自己の精神を護っていたが、さすがに妊娠報告を聞かされて現実逃避はできない。
「姫……」
ショックは大きかったが、とりあえず。
「お、おめでとう、ございます…」
やっとのことで絞り出した声は掠れ気味だった。
(カシェルダ…?)
「お身体の具合は大丈夫なのですか?くれぐれも、無理をなさいませんよう…ご自愛下さいませ」
何だか様子がおかしいことに気づいたサフィーアだったが、彼は言うだけ言うと素早くテントから出て行ってしまった。