砂漠の夜の幻想奇談
第二十三話:籠城と潜入


 翌日、カシェルダは朝からずっとサフィーア奪還の隙をうかがっていたが、無理だと諦めざるを得なくなった。

なんせ、ルームザーンが片時もサフィーアから離れない。

移動する時は自分の馬に乗せ、休憩中も常にサフィーアを監視している彼は、カシェルダが欲っする「隙」を全く見せてくれなかった。


そしてカシェルダが何もできない口惜しさを味わっているうちに、とうとう見えてきたカイサリアの城。

巨大な城壁に護られた城の門が開き、逃げてきたカイサリア軍が中へ入る。

サフィーアやルームザーン、変装がバレていないカシェルダも城内へと入っていった。


(ルームザーン…。奴は姫をどうしたいんだ?)


危害を加える気はなさそうだが、信用はできない。


(気掛かりだが……せっかく城内へ入れたんだ。先に色々調べておくか…)


兵の数や配置、武器庫、食糧庫の場所など。

いつでも潰せるように狙いをつけておこうというわけだ。

カシェルダは密かに動き出した。






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