砂漠の夜の幻想奇談
しかし、シャールカーンの予想を裏切って、三日過ぎてもカイサリア側からは何も反応がなかった。
「どういうことだ…?なぜハルドビオス王は使者を寄越さない?」
四日目の朝、シャールカーンはイライラと陣営内を歩き回っていた。
敵は城の門を閉じ、籠城の構えを見せている。
「何も要求せずに籠城か?そんな…有り得ない…!」
「王様、落ち着いて下さい!ほら、あれですよ!色々と欲があり過ぎて、まだ考え中なんですよ!きっと」
トルカシュが宥めにかかるが、シャールカーンにギロリと睨まれ、あえなく撃沈。
美人の睨みは恐ろしい。
「カシェルダは無事でしょうか…」
「平気じゃない?あいつ、しぶといから」
テオドールとミロンの会話が耳に入り、シャールカーンは溜息をついた。