砂漠の夜の幻想奇談


 カイサリアの城内にて、カシェルダは廊下を歩きながら収集した情報をもとに色々と考えていた。


(アフリドニオス王の軍も敵をかなり追い詰めていたようだな)


北側で戦闘を繰り広げていたコンスタンチノープルのアフリドニオス王。

彼と戦っていたカイサリアの将はマルザワーン王子だった。

王子といえど、もう四十に達する年齢である。

そんなマルザワーンが敗走し、カイサリアに戻ってきたのはルームザーン達が城に到着した翌日だった。


(マルザワーンも逃げてきた今、カイサリアは完全に立て籠もるつもりだ。手っ取り早く開城させるには…物資を燃やすか…)


昨日の調べで食糧庫の場所は確認済みだ。


(いや、次の手もないまま俺の独断で行動するのは危険だな。姫もいらっしゃるし)


早まるのは良くない。


(しかし……ルームザーンはハルドビオス王にサフィーア姫のことを教えていない。なぜだ?姫を利用するために連れて来たんじゃないのか?)



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