砂漠の夜の幻想奇談

と、その時。

モゾモゾ――。

サフィーアの身体が動き出し、パチッと彼女の目が開いた。

どうやら浅い眠りだったようだ。

目と目が合い、カシェルダは護衛官の顔で微笑む。

「姫、お加減はいかがですか?」


(カ、シェルダ…?)


目覚めたらカシェルダがいる。

一瞬驚くも、だいぶ慣れてきた。

サフィーアはゆっくりと上体を起こし、腕を振って元気だとアピール。

「お元気そうですね。良かった」

安堵した護衛官は膝をついて姫と目線を同じにした。

「サフィーア姫、お聞きしたいことがあります」


(何かしら?)


「ルームザーンはなぜ姫をさらったのですか?人質として利用するためにしては不自然な点があるのでわかり兼ねているのですが……姫は奴の真意をご存知で…?」


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