砂漠の夜の幻想奇談
「俺が行きたいんだ。もちろん一人でなんて無茶はしない」
「はいはい!!なら俺がお供します!」
元気良く手を挙げた従者トルカシュ。
地下探検に興味があるのか、目が輝いている。
「お前はダメだよ、トルカシュ。城内にはラテン語を使う人間が多いだろうから、しゃべれないと怪しまれる」
「ええ~!そんなぁ!」
「なら僕が…!」
次に弟のカンマカーンが進み出た。
しかしシャールカーンは彼にも首を縦に振らない。
「カンはここに残ってくれ。お前には他にやってもらいたいことがあるんだ」
「え…?何でしょう?兄上」
目をパチクリさせる弟に微笑みを向け、シャールカーンは告げた。
「カンには俺のいない間、軍の総司令官になってもらう」
「………えっ?ぼ、くが…?」
「アフリドニオス王が城壁を崩すため攻撃を開始するから、上手に補佐をするんだよ。いいね」