砂漠の夜の幻想奇談
第二十四話:囚われの姫君
カイサリアの城内ではマルザワーン王子が廊下を駆け回り、末の弟を探していた。
「おおっ、ルームザーン!ここにいたのか!」
昼間だというのに薄暗い廊下を、トボトボと歩いていたルームザーン。
あまり好きではない兄に発見され、彼は溜息を吐いた。
「何用でしょう、兄上」
「敵が城壁に弾丸をぶつけてきた!至急、使える兵士を集めてくれ!指揮も頼む」
「投擲機(トウテキキ)を使ってきましたか。わかりました。弓兵部隊を守備に向かわせましょう」
城壁を破壊するべく開発された、大きな石などを勢いよく投げるための巨大な機械、投擲機。
てこの原理を利用してバンバン弾丸が飛んでくるので、まともに喰らうと守備側の被害はかなり甚大なものとなる。