砂漠の夜の幻想奇談
第二十五話:開城、そして…


 ハルドビオス王との一対一から上手く逃れたカシェルダは、城の中を刺客さながらに移動しながらルームザーンを探した。

走り回ってやっと、広間の近くで彼を見つける。

カシェルダは勢いよくルームザーンの胸倉を掴んだ。


「おい!姫はどこだ!」

「は…?」

「サフィーア姫は!?ハルドビオス王に捕まったんだ!どこに連れていった!?」

「な、に…!?父上が…!」

自分の知らぬところで父王が動いた。

動揺して額を押さえる。

「知られたのか…。どうして……いや、それよりも、助けなくては…」

「だから、場所はわかるか?」

苛立ったカシェルダを睨みつけ、ルームザーンは父の行動パターンを思い出す。


「彼女は人質だから、軟禁されているだろう…。おそらく…父上の部屋に近い…東塔」

「ならそこへ行く。案内しろ」

言うが早いか駆け出す護衛官。

ルームザーンも慌てて後を追った。








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