砂漠の夜の幻想奇談
「………本当か?誓ったのか?」
「ああ。協力を惜しまないなら君達の命の安全も約束してもいいけど?」
更なる甘い誘いに心が揺れる。
ルームザーンは兄を見遣った。
「ファルーズ兄上…。どうしますか?」
剣を下げ、戦闘態勢を解いたファルーズは弟を見つめて目を細める。
「私は……お前について行くよ。私より、お前の判断の方が頼りになる。お前が彼らに味方するなら私兵を集めて協力しよう」
「兄上…」
判断を委ねる。
ルームザーンの視線がせわしなく泳いだ。
自分の一言で状況が大きく変わってしまう。
冷や汗が出そうになった時…。
「王子、彼らは地下に閉じ込められていた私を助けて下さいました」
マリアムが穏やかな声を出した。
「優しい方々です。彼らなら、きっと約束を守って下さいます。ですから――」