砂漠の夜の幻想奇談
「姫!ご無事で!?」
(カシェルダ!)
「王妃様、急いでここから出ましょう」
(ルステム!?)
「サフィーア王妃…」
(ルームザーン王子も!あ、あれ…?)
ルームザーンの隣にファルーズ、そしてもう一人。
自分とそっくりな女性に気づき、サフィーアは目を丸くした。
(も、もしかして……この人が、マリアム…!?)
「王妃様、お初お目にかかります。マリアムです」
丁寧にお辞儀をされる。
サフィーアは涙を拭きながらマリアムを見つめた。
(やっぱりマリアムなのね!!で、でも確か、マリアムは…亡くなったんじゃ…?)
混乱しているのが顔に出たのだろう。
ルームザーンが苦い表情で頭を下げた。
「すまなかった、サフィーア王妃。私はすっかりマルザワーン兄上に騙されていたらしい」