砂漠の夜の幻想奇談
「それ以上の話は後だ。早く出た方がいい」
カシェルダが急かす。
「そうだな。とりあえず私の部屋へ行こう」
ルームザーンがマリアムの手を取り先頭を走り出した。
皆が後に続く。
サフィーアもシャールカーンに手を引かれ駆け出した、はずが。
「馬鹿者!姫を走らせるな!お身体に何かあったらどうする!」
ひょいとサフィーアを抱き上げる護衛官。
(ひゃ!?カシェルダ、私は大丈夫よ?)
「カシェルダ…?君がサフィーアに対して過保護なのは前から知ってるけど…流石に…」
シャールカーンの言葉に苛立ちを覚えたカシェルダは嫉妬をぶつける如く彼の足を踏ん付けた。
「痛っ…!?」
「姫は身重なんだぞ。誰のせいだ」
「えっ…?」