砂漠の夜の幻想奇談

走り出すカシェルダを追いながらシャールカーンは驚愕して目を見開く。

「サフィーアが……身重…?ま、まさかルームザーンに犯さ――」

「なぜそうなる!」

ツッコミを入れたカシェルダだが、彼も最初は同じことを言っていた。

母親は違っても流石が兄弟と言うべきか、おかしなところで思考回路が似ている。


「お前との子だ」


ハッキリ言われ、シャールカーンはサフィーアの顔を恐る恐る覗き込んだ。

「ほ、本当、なのか…?俺との子が…ここに…?」


(そうよ!シャールとの赤ちゃんができたの!)


満面の笑顔。

綺麗なその表情にシャールカーンは喜びを解放させた。


「ヤッタ!!サフィーア!!」


カシェルダから奪い、自分の胸に抱き寄せる。

新たな命の芽生えにシャールカーンの心は震えた。








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