砂漠の夜の幻想奇談
第二十六話:第一王子!?
ゆらり、ゆらり。
穏やかな揺れが身体に伝わる。
のろのろと進む輿は人が担ぐタイプのもので、カイサリアのルームザーンが手配してくれた。
それに乗りながらサフィーアは時間をかけてバグダードへと帰還。
身体に負担をかけないようにとシャールカーンが軍の進むペースをゆっくりしてくれたおかげで、道中は行きと比べ、かなり楽だった。
(父上、元気そうで良かったわ)
カイサリアの城内にて、サフィーアは久しぶりに父親と会い、妊娠を報告した。
最初はめでたい知らせに驚き、呆然としていた父王だったが、すぐに顔をほころばせてサフィーアとシャールカーン、そしてお腹の子を祝福してくれた。
さて、色々とあったが、やっと戦も終わり一安心。
かと思いきや――。
次なる問題がバグダードの王宮で彼らを待ち受けていた。