砂漠の夜の幻想奇談
第二十六話:第一王子!?


 ゆらり、ゆらり。

穏やかな揺れが身体に伝わる。

のろのろと進む輿は人が担ぐタイプのもので、カイサリアのルームザーンが手配してくれた。

それに乗りながらサフィーアは時間をかけてバグダードへと帰還。

身体に負担をかけないようにとシャールカーンが軍の進むペースをゆっくりしてくれたおかげで、道中は行きと比べ、かなり楽だった。


(父上、元気そうで良かったわ)


カイサリアの城内にて、サフィーアは久しぶりに父親と会い、妊娠を報告した。

最初はめでたい知らせに驚き、呆然としていた父王だったが、すぐに顔をほころばせてサフィーアとシャールカーン、そしてお腹の子を祝福してくれた。



さて、色々とあったが、やっと戦も終わり一安心。

かと思いきや――。

次なる問題がバグダードの王宮で彼らを待ち受けていた。




< 811 / 979 >

この作品をシェア

pagetop