砂漠の夜の幻想奇談
シャールカーンは紙と筆を机に置くと、サフィーアを抱きしめて寝台に入った。
本格的に寝る態勢だ。
「“サフィーア”は綺麗な名前だよね。好きだな。水のように、清らかな女性……サフィーア」
キスが降ってくる。
目尻に、頬に、唇に。
(えっ?ちょっと!)
不意に、シャールカーンの手が肌をなぞり、衣服の中へ侵入してきた。
(待って待って!さっき、妊娠中は抱かないって…!)
ビックリして覆いかぶさる彼を見上げれば、憎らしいほど美しい笑顔が。
「ああ、抱かないよ。うん。ただちょっと……気持ち良くなってもらいたいだけだから」
そして、雪のような肌をさらけ出した少女に、金色の獅子は愛をこめて甘く牙を立てたのだった。