砂漠の夜の幻想奇談
第二十七話:王妃の日記
第一王子問題が発生して数日。
政務の合間に頑張って動いているシャールカーン達の手伝いをさせてもらえずサフィーアは一人、後宮でいじけていた。
(何よ何よ!シャールの分からず屋~!)
ぷりぷり。
そんな女主人の傍にはドニヤが苦笑して控えている。
「サフィーア様。王様はサフィーア様のためを思ってですね…」
身重だし、編み物だってしなきゃならないし、と色々理由をつけて後宮から出るなと命令してきたシャールカーン。
言われた通り編み物を頑張っているが、シャールカーン達のことがやっぱり気になってしょうがない。
(シャールが私のためを思ってくれてるのはわかるわ。でも、私だってシャールの力になりたい…。そう思うことはダメなの?)
紙に書いてドニヤに愚痴をぶちまけたいが、書いたところでドニヤは読めない。
カシェルダがいれば良かったが、生憎と彼は今ダマスだ。