砂漠の夜の幻想奇談
第二十七話:王妃の日記


 第一王子問題が発生して数日。

政務の合間に頑張って動いているシャールカーン達の手伝いをさせてもらえずサフィーアは一人、後宮でいじけていた。


(何よ何よ!シャールの分からず屋~!)


ぷりぷり。

そんな女主人の傍にはドニヤが苦笑して控えている。

「サフィーア様。王様はサフィーア様のためを思ってですね…」

身重だし、編み物だってしなきゃならないし、と色々理由をつけて後宮から出るなと命令してきたシャールカーン。

言われた通り編み物を頑張っているが、シャールカーン達のことがやっぱり気になってしょうがない。


(シャールが私のためを思ってくれてるのはわかるわ。でも、私だってシャールの力になりたい…。そう思うことはダメなの?)


紙に書いてドニヤに愚痴をぶちまけたいが、書いたところでドニヤは読めない。

カシェルダがいれば良かったが、生憎と彼は今ダマスだ。


< 834 / 979 >

この作品をシェア

pagetop