砂漠の夜の幻想奇談
傍にいないカシェルダのことを考えて、サフィーアはハッとした。
カシェルダが不在。
ということは、そろそろ「彼」が来るかもしれない。
(…いや、そんな…まさかね。来ない来ない)
と、そこへ――。
「呼んだか?サフィーア姫」
噂をすれば影。
否、心の中で思っただけだが、彼は突如現れた。
「あっ!変態魔神!」
ドニヤが叫ぶ。
そう、ダハナシュの登場である。
(あう…本当に来た…。最近、カシェルダがいないと来るのよね)
会えば追っ払われること確実なので、カシェルダを避けて忍んで来る。
ダハナシュの行動パターンが読めてきたサフィーアだった。
「サフィーア様は呼んでなんかいないわよ!早く出ていきなさい!」
ドニヤがカシェルダの代わりを務めるも、あまり効果はないようだ。