砂漠の夜の幻想奇談

「ハァ…邪魔者が増えた」

ファリザードを見て、ダハナシュが溜息をこぼす。

次の瞬間、またパチンという高い音が響いた。


「きゃ!?」


(ファリザード姫!?)


今度はファリザードが魔力を受けた。

ポンッ!という軽い音と共に、真っ白な子猫の姿に変えられる。


(か…可愛い!!!!)


思わず近寄ってサフィーアは子猫を抱き上げた。

どうやらドニヤと同じ種類の子猫バージョンらしい。

尖った耳に愛くるしい瞳がとてもキュートだ。


「ミャ、ミャア~!!」

サフィーアの腕の中でジタバタするファリザード。

いきなり猫になって動揺しているようだ。


(ハッ!そうだわ!可愛いとか言ってる場合じゃない!ダハナシュ~!!)


振り返ってダハナシュを睨む。

クスクス笑う魔神にサフィーアが怒りをぶつけようとした時。


「ミャッ!!」


腕の中からファリザードがピョーンと飛び降りた。

気が動転しているのか、そのままタタタと走り去る。


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