砂漠の夜の幻想奇談

サフィーアが考えていると、ダハナシュの大声にビクリと反応した子猫ファリザードが隣室へ駆け込んでしまった。


(あっ!)


サフィーアもドニヤも、子猫が逃げ込んだ部屋へ入る。

「ほら!変態魔神!ファリザード様も人間に戻しなさい!」

「チッ…」

面倒臭そうではあったがダハナシュはドニヤに従い、子猫に向かって指を鳴らした。


「ミャゥ!?」

また軽い音がして姿が変わる。

子猫がいた幾何学模様の絨毯の上に、ぷるぷると身体を震わすファリザードが現れた。


(ファリザード姫!)


駆け寄れば、子猫だったお姫様は瞳をうるうるさせてサフィーアに抱き着いてきた。

「こここ怖かったですわ!!いきなり王妃様が巨大化してビックリしてあああっ~!!」


(ご、ごめんなさい。私が抱っこしちゃったから怖がらせちゃったのね)



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