砂漠の夜の幻想奇談
シャールカーンが子供の頃の日記を読みたくて、サフィーアは日付の古いものを引っ張り出した。
なんとテーブルに積まれていた本は全て日記で、下の方に十年前のものがあったのだ。
早速ページを開き、目を通そうとしたら…。
ヒラリ――。
(あら?)
挟まっていたのだろう。
一枚の古い紙が日記の中から落ちてきた。
(何かしら?)
拾って確認すると、ラテン語の文章。
それは手紙だった。
『――アブリザ王妃様
先日の件、深く感謝申し上げます。
貴女様のお言葉があったからこそ、今私は王様の許可を得てダウールマカーン王子の捜索を始めることができます。
偉大なるアッラーのお導きにより、王子の早期発見が叶いますよう、どうか共にお祈り下さい。
カシェルダ・イブン・モソラ・イブン・マスーラ』