砂漠の夜の幻想奇談
第二十八話:死と引き換えに
サフィーアから例の手紙を見せられたシャールカーンは目を丸くした。
「本当か!?本当に本当に、これが母上の日記から!?」
(本当よ)
サフィーアがコクリと頷けば、風呂上がりで火照っていた彼はさらに興奮して身体を熱くさせた。
「でかしたサフィーア!」
最愛の妃を全身でギュウギュウ抱きしめる。
(きゃあ~!な、何!?)
喜んでくれたのは嬉しいが、ここまで熱烈なのは何故なのか。
イマイチぴんときていないサフィーアに、シャールカーンは早口で言った。
「まさか兄上の捜索が行われていたなんて…!これが事実なら報告書が存在するはずだ!それを見つければ真偽を確かめられる!」
ずっと第一王子はバスラにいたと主張しているアフマード。
報告書の内容と違っていたら偽者と証明できるわけだ。